もらい事故でも賠償責任?(7)

先日、福井地裁で驚きの判決が出て話題となった「もらい事故でも賠償責任?」のニュースをまとめてみた。

もらい事故でも賠償責任?(1) 事故の概要・事故当事者の関係性と事故に至った経緯
もらい事故でも賠償責任?(2) 誰が誰を訴えたのか?
もらい事故でも賠償責任?(3) 任意保険の対応はどうだったのか?
もらい事故でも賠償責任?(4) 自賠責保険の対応はどうなのか?
もらい事故でも賠償責任?(5) 各原告の主張と請求
もらい事故でも賠償責任?(6) Fさんに過失はあったのか?
もらい事故でも賠償責任?(7) くだされた判決 ← 今この記事
もらい事故でも賠償責任?(8) 各被告への損害賠償支払い命令
もらい事故でも賠償責任?(9) 一番かわいそうなのはAさん

 

くだされた判決

最終的に福井地方裁判所民事部、原島麻由裁判官によって、Fさん(E社)にくだされた判決は、

「Fさんに前方不注視の過失があったということはできないが、無過失であるという証明もできないため、
Fさんの運転に過失がなかったとは言えない。よって、自賠法3条に基づき、Gの死亡に対する賠償義務を負う」

というものであった。

ここでポイントとなるのがやはり「自賠法3条(自動車損害賠償保障法 第3条)」である。

自賠法3条とは、

自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

というもので、条文にもしっかりと、
運転者が自動車の運行に関して注意を怠らなかったことを証明した場合は、損害を賠償する責任はない
と書かれている。

今回、Fさんは、この注意を怠らなかったという証明、過失はなかったという証明ができなかったということで、損害賠償責任を負うよう命じられたのだ。

もともと自賠責保険は被害者救済のためのもので、自賠法も被害者が救済を受けやすいように制定されている。
そのため、一般不法行為による損害賠償を争う裁判とは違い、被害者側が加害者に過失があったことを立証する必要がない。
逆に、被害者からの申し立てに不服がある場合には、加害者側が自分の無過失を立証しなくてはならないのだ。

今回の判決もこの自賠法に基づいたもので、なんら間違ってはいないのだが、
居眠り運転の車がセンターラインを越えて衝突してきた事故で、自分に過失がなかったとは言えないとして、
損害賠償を命じられる判決がくだるというのは、心情的には納得できるものではないだろう。

コンサート行って徹夜で運転してきて、保険に家族限定特つけてるのに、家族以外の子に運転代わって、
その子だって疲労や眠気があって当然の状況なのに、休憩をとるという判断をしないで、
しかもシートベルト非着用の状態での事故死だったにも関わらず、遺族が裁判おこして、
迷惑かけた相手の車にまで損害賠償請求するとか、ちょっとどうかなと思っちゃうよねー。
生命保険金だけじゃ納得できなかったのー?
と、それが一般的な世論の感情ではないかと。