もらい事故でも賠償責任?(6)

クルマトーク

先日、福井地裁で驚きの判決が出て話題となった「もらい事故でも賠償責任?」のニュースをまとめてみた。

もらい事故でも賠償責任?(1) 事故の概要・事故当事者の関係性と事故に至った経緯
もらい事故でも賠償責任?(2) 誰が誰を訴えたのか?
もらい事故でも賠償責任?(3) 任意保険の対応はどうだったのか?
もらい事故でも賠償責任?(4) 自賠責保険の対応はどうなのか?
もらい事故でも賠償責任?(5) 各原告の主張と請求
もらい事故でも賠償責任?(6) Fさんに過失はあったのか? ← 今この記事
もらい事故でも賠償責任?(7) くだされた判決
もらい事故でも賠償責任?(8) 各被告への損害賠償支払い命令
もらい事故でも賠償責任?(9) 一番かわいそうなのはAさん

 

Fさんに過失はあったのか?

甲事件の争点となっている「Fさんの運転に過失はあったのか?」であるが、
原告(Gさんの遺族であるB・C・Dさん)は、Fさんに前方不注意の過失があったと主張している。

事故の状況はこうだ。

G車を運転していたAさんは、衝突地点の800m手前あたりから居眠りを始め、
約100m手前から中央線上を走行し始める。
そのままゆるやかに対向車線にはみ出していき、80m手前付近で先行車①とすれ違う。
先行車①は左にハンドルを切ってG車を避けた。
その後50m手前付近で先行車②ともすれ違い、先行車②も左側に寄りG車を避けた。
その直後にF車と正面衝突事故を起こす。

F車を運転していたFさんは、G車に気付いた時点で急ブレーキをかけたことと併せて、
事故直前に、進行方向の路側帯に歩行者がいるのを発見し、そちらに注意を向けたことも供述している。

事故現場付近の道路状況は以下のようである。

事故が起きた道路は南北に走る片側1車線の国道で、平坦な直線道路である。
道路は追い越しのためのはみだし通行が禁止されていて、センターラインは黄色である。
事故時の天候は曇りで、路面は乾燥していた。

車線の幅員は3.3mずつで、両車線の外側には車線外側線で仕切られた路側帯がある。
事故地点の北進車線の路側帯の幅員は0.7mで、その外側にはガードレールが設置されている。
事故地点よりも北側の路側帯幅員は2.3mで、ガードレールはなかった。
南進車線の路側帯の幅員は1.8m~2.5mであった。

 
jiko

 
<Fさんに前方不注意の過失があるとする原告の主張>
● 歩行者への注意が前方不注視にあたるのではないか
● 先行車の2台は事故を回避できていることから、脇見運転をせずにもっと早くG車に気付いていれば、先行車同様に左側へ、または反対車線に避けて、衝突を回避することができたのではないか
● あるいはクラクションを鳴らすなどして衝突を回避させたり、すみやかに車を停止させ、衝突の衝撃を減じることができたのではないか

 
<Fさんの反論>
● 事故直前に路側帯にいた歩行者を見たものの、同時に進路前方を注視することも怠らなかった
● 先行車の存在等によって、より早い段階でG車の動向に気付くことは不可能であった
● 仮により早い段階でG車の動向に気付いたとしても、対向車線に回避する、その場で停止する、クラクションをならすなどの措置を咄嗟に講ずることは不可能であった
● もしそれらの措置を講じていたとしても、事故が避けられたとは言えない
亡Gがシートベルトを装着していなかったことが亡Gの損害が拡大したと考えるのが合理的である
● 事実、事故によりG車の前部は原型をとどめないほど破損しているが、シートベルトを着用していたAさんは重傷を負ったものの致命傷には至らなかった

 

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