今年2024年から始まった SUPER GT の新予選方式の問題について考える。
今シーズンから SUPER GT の予選方式が、従来のQ1とQ2のノックアウト方式から、Q1とQ2のタイムを合算してスタートグリッドを決める「タイム合算方式」に変更された。
ドライバー2人がQ1とQ2に分かれ、それぞれアタックタイムを記録し、その合算タイムで決勝グリッドを決める。これにより全チームが、ドライバー2名とも走る姿をファンに見せることができる。
また、予選で使用できるタイヤセット数は1セットに制限され、そのタイヤが決勝のスタートタイヤとなる事も盛り込まれた。
合算タイムだと直感的にわかりにくく、ポールポジションを決めるその瞬間の盛り上がりに欠けるとか、予選はやっぱり新品タイヤでドライバーのガチンコのタイムアタックが観たいよとか、興行的にもいかがなものか?なファン心理はあるものの、とりあえずその点はここでは置いておく。
問題はGT300で、出場台数が多いため全車一度で走れず、Q1をA組B組と2組に分けてタイムアタックさせなければならない点である。
このとき、先に走る組と後に走る組では、路面コンディションの優劣によってアタックタイムの結果が、大きな違いとして現れてしまうのだ。
トラフィックの問題はさておき、全車一度にQ1・Q2アタックができるGT500では、イコールコンディションでタイムを競えるので問題ない。
GT300の不公平が生まれてしまう事態が問題であると思う。
では、第1戦岡山と、第2戦富士で、先組と後組のタイム差を見てみよう。
図1
図2
図3
図4
図1と図2は、岡山大会、図3と図4は富士大会のもので、図1と図3がQ1A組・B組で記録されたタイム順に並べたもの、図2と図4がQ2のタイムも合算した上で決定されたグリッド順に並べたものとなる。
図1と図3のQ1A組・B組は、岡山大会ではA組が先に走り、富士大会ではB組が先に走った。色分けはA・Bではなく、常に先に走った方を水色と青色、後に走った方を黄緑色と緑色に塗り分けてある。
ちなみに、A組B組の分け方と、先後の決め方は、前回大会までのポイントラインキング順で、奇数をA組、偶数をB組にわけた上で、前回大会のGT300優勝ドライバーが、どちらの組が先に走るのかのくじを引いて決める。
そこで、この方式が初めて取り入れられた初戦の岡山大会では、先に走った組と後に走った組で、平均タイムの差が顕著に出た。
図1がそれで、上のほうに後から走った黄緑色が多く並んでいるのがわかる。また、B組の中では9番手以下のロワーグループに入っている60号車、9号車、31号車のタイムが、A組であれば4,5,6番手に食い込む異常事態である。
そして図2のQ2タイムを合算した最終グリッドでは、やはり上位に後から走ったB組の黄緑色が目立ち、アッパーとロワーの入れ替えも後に走った9,31,60号車がグリッド順位を上げ、先に走った組のチームが軒並みグリッドを失っている。
そしてこの状況は第2戦富士大会でも続く。図3を見ればやはり後に走った黄緑色が多く上に並んでいるし、図4の最終グリッドを見ても、アッパーとロワーの入れ替えも、後に走ったチームが有利であったことは変わらない。
ポールポジション争いが、くじ引きひとつで有利不利が出てしまうなんて興ざめだ。
また、常に中団を走っているチームにとっては、アッパーとロワーの入れ替えは必ず有利不利が絡んできてしまい、中団チームこそ新方式の影響を受けやすい。
この不公平感は観客にとっても、参加する者にもとっても、レースをつまらなくする。
タイヤ1セットはまあ飲みましょう。ドライバー2人とも走れるのも賛成だ。GT300のタイム合算方式だけはやめてくれないか。A組・B組でアッパーとロワーに分けたら、次はQ2ロワー、Q2アッパーで、純粋にQ2の中でタイム争いをして順位を決める方式にして欲しい。シーズン途中からだっていいよ。
とにかくこの観ていてストレスを感じるような方式はよくない。
おまけ
とは言え、第2戦富士で先に走った88号車がPPを獲得したのだから、言い訳できない感はある。
レーシングドライバーならどんな条件でも速く走れ。チームは、タイヤ屋は、このルールにマッチした戦略、セッティング、タイヤを用意しなくてはいけないし、そうやってやっていくしかない。
という心づもりもあることはあるのよ・・・。
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